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切れ味

ウドンの薬味に長ネギを小口切りにしたら、上が少し潰れ下が切れていない。菜切り包丁が鈍くなっているからで、刃を爪にあてるとツルツル滑る、この前研いだのは随分前と前だったなあと、牛刀、刺身包丁、麺切り包丁も研ぐ。

 

硬いものを切ったはずないのに包丁は切れ味が確実に落ちる。人もそうで使わない頭なのに鈍くなり動作も緩慢、身体の蝶番も油が切れた中古品。「俺みたいな繋がったネギ」とか「大谷さんのグローブ寄贈は真似できなくてもゴミ拾いはできる、スクワットの一種」なんて笑う。こんな調子で、切れ味が悪い自分の心身を逝くまで笑って暮らせたら、それが本当の『人生の楽園』じゃないかなあ。もう昼、ネギを切らなくちゃあ。前よりちょっとだけ腰軽く台所に立つ。

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