カウンター

ポケット

町のなかにポケット

たくさんある

 

建物の黒い影

横丁の路地裏

 

そこへ手を突っ込むと

手にふれてくる

 

なつかしいもの

忘れていたもの

 

杉山平一詩集『希望』から

 

波風氏が散歩で見つけた懐かしい風景のことを詩人はこんなふうに書くんだな。立冬の朝、記憶の玉手箱みたく時々開く詩集にあった詩。読んでいたはずなのに忘れている。忘れているから、初めての言葉に心が喜んでいる。何かの拍子にポケットに手を入れたら飴玉が入っていたみたい。

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