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『わからない』

わからない

                            杉山  平一

 

お父さんは

お母さんに怒鳴りました

こんなことがわからないのか

 

お母さんは兄さんを叱りました

どうしてわからないの

 

お兄さんは妹につっかかりました

お前はばかだな

 

妹は犬の頭をなでて

よしよしといいました

 

犬の名はジョンといいます

 

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この詩はこの詩集のここに、こんな風に納まっているんだなあ。前に読んだのは新聞の文化欄だったと思う。書き写した記憶がある。ちゃんとしたのを読みたいと思っていたら縁があり再会できた。

もう遅い、ということはないんだな。平易なのに深い言葉が教える。詩の存在価値も。意味のわからない詩に黄緑色の付箋をつけ時々開いてまた読む。作者97歳の時の詩集『希望』から。

 

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