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9月19日(月) 敬老の日

若い正岡子規

 窓開ける晴れの朝。明るい空のせいか、眼下のもう色褪せてしまった紫陽花が季節の変化を感じさせ静かな気分になる。冷たい空気は完全に秋のそれ。

 昨日の夜、きっかけは忘れたが「死ぬまでにやっておきたいこと」を口にした。1曲ぐらいはピアノを弾けるようになりたい、1編ぐらい小説を書いてみたい、山口と松本と淡路島を旅したい、…意外に思いつかず、肝心なことを忘れている気がする。たぶん、執着するものごとがあまりないのだ。死ぬまでそんな感じが続くなら幸せだ。一日一日で完結できる楽しみが毎日あれば、それ以上の「やりたいこと」は必要ない。波風立男氏の「死ぬまでにやっておきたいこと」とは、「やっておきたいことが限りなく少ないことだとわかるように暮らすこと」なのだと悟った。

 今朝の新聞で、114年前のきょう、正岡子規亡くなったのを知る。34年間の短い人生、うち病臥6年。カリエスの強烈な痛みの中、亡くなる3ヶ月前に、「草花の一枝を枕元に置いて、それを正直に写生していると、造化の秘密が段々分かってくるような気がする」(「病床六尺」)と書いた子規。寂しい感じの菊の絵を漱石に送り、今まで一度も『拙』を感じさせない友人が絵にだけそれを感じさせるという漱石の感想が残っている。春に、読みたくて買い、放ってある子規の2冊を開いてみよう。

 ※子規の菊の絵は「正岡子規 言葉と生きる」(坪内稔典著:岩波新書)から。

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