カウンター

2分間のCM

雪かき用の皮軍手

 あるCMで考えさせられた。うたた寝でボンヤリしていたが、マラソンランナーが突然に四方八方へ走り出したところで、何か大事なことが提示されるのだろうかと覚醒させられた。冬季五輪の最中に放映されたからインパクト大だ。そこには、競争と自己責任が蔓延し閉塞する社会状況を一見批判するかのようなメッセージ性、そして自由を求める若者を応援するのが弊社です、君たちの味方です、の巧みな立場表明があった。

 だが、競争を望もうが望むまいが、その結果責任はあなたです、からは巧妙に逃げている。道を外れて交通事故にあったり、海で溺れたり、雪の中で凍え死には見せない。若者に塗炭の苦しみを与え続ける就職状況、これを誘導したり上手く乗っかったりして大もうけしたこの会社の、以前に政治家との露骨な結びつきで一度滑ったが今はもうこの筋の最大手を高らかに宣言する長いCMだ。天野さんならどう批評しただろう。もう少しで騙されかけた立男は苦笑いするしかなかった。

  

 立男が言うのも何だが、このCMを若者なら馬鹿にしなければいけない。お前にそこまで言われる筋合いはないと。老人は心に留めたい。こういう小賢しい説教を若者に垂れるようになったらおしまいだと。

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