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第93回/綴ること(中)

綴ること(中) 

(前回からの続き)そのようにして、書くこと・綴ることは、ずっと腹ペコと共にあった。今もこの先も、ある意味「書くこと」を生業にしようとしていると言ってもいいだろう。「ペコさんはしゃべるよりも文章のほうがわかりやすいときがある」とは相方さん談で、自分の思ったことを話すことが苦手な腹ペコは、そのストレスを書くことに向けていたのだと思う。それを続けた結果が、「しゃべるよりも文章のほうがわかりやすい」なのだろう。

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 一方で、生業とするための「書きもの」は、読み手を想定することが必要だ。今の道を志してから苦しんだのは、実はその点なのではないかと今さらながら思う。それまでの「書きもの」は、自分の想いをただ書くだけでよく、誰かに理解されたいという類のものではなかった。むしろ、「こんなこと言っても理解されないんじゃないか」という防衛本能から「言えずにいたこと」を書き連ねたものであったから、「相手にわかってもらう」というベクトルの書きものははじめてだった。つまり、腹ペコは「しゃべるよりも文章のほうがわかりやすい」が「文章もわかりにくい」のだった。(続く)

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