カウンター

あれが無いんだよ

お湯も湧いた、豆も電動ミルで粉にした、珈琲茶碗もお盆に乗せた、ミルクも温める準備完了。珈琲サーバーもポットもさっき用意したのに、あれが無いから珈琲が淹れられない。いつもあれを吊るしてある右を見ても、洗って乾かす左を見ても無い。ペーパーフィルターを入れるあれが無い、「あれが無い!困ったー、あれ、あれ」と騒ぐ。ママヨさんが穏やかな声で、「あれってなんですか?ポット?サーバー?」とか言っている。「無いんだよ、あれが、あれの名前は忘れた」と左右を前よりしっかり見ながら答える。

 

あっ、珈琲サーバーの上に乗っていた!左右でなく正面に。こうやって、穏やかに老化していく自分を朝の始まりから認知する波風氏。同じような行動をするようになったママヨさんが側面から静かに確認する。

 

今日の珈琲の味はいつもより雑味が少ない感じだなあ。

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