カウンター

道楽『箱』

f:id:namikazetateo:20190228173457j:plain

箱を作る人が遊びに来た。展覧会をやるとのこと。名刺入れや爪楊枝入れの小物から、書類入れ、三段引き出しの樺細工まで、とにかく箱、それも木箱を道楽で作っている。さっそく展覧会に行ったら、100箱ぐらいあり、デザインが全て違った。
前に、ママヨさんが一位(オンコ)の小箱を地域の祭りで買ってきた。柾目の通った材で、工夫した蓋の開閉が面白い。千円ちょっとの値段に何度か逡巡して求めたらしい。「奥さんが初めてのお客さんでした」と言う作者は、立男の教え子のお父さんだった。アンモナイトで有名な方だが、こんな趣味もあるのかと少し驚いた。
この箱は今、立男君の読書眼鏡入れ。あのママヨさんのお買い物でつながった縁、というところが面白い。ママヨさんは変わったというか、面白いものに惹かれる人だ。

 

作者は、小さな時から箱好きで、10年ほど前から木箱を作り始め一度も飽くことが無いという。「何で箱なの?」と聞いたら「わからない」、それ以外作る気がしないという。木に詳しく、木の話をすると顔が輝やく。波風食堂のテーブルと椅子は、この方からいただいた古材。簡単には手に入らない、水産加工場の梁。
新作の箱が溜まると見せに来て、波風君が「箱も面白いけれど、作り続けるあなたが面白い」と言うと、「先生だって面白い」「褒めてくれるから見せに来る」と笑う。

 

画像は、1㎝四方の竹を約2000枚貼り合わせたA4書類の保管箱。最新作だ。歪まないよう、周囲を少し厚くした工夫。1ヶ月はかかったはず。頼めば売ってくれる。有名になる前の今がチャンス(笑)。箱の用途は用途として、「作る心」は自分好みの完結した世界を自分の手で作る面白さだろう。同じ道楽者には痛いくらいわかる(笑)。

 

※ふと、昔読んだ『箱男』(安部公房著)思い出す。箱作る人を「日本 箱男連盟 初代会長」と勝手に命名する。

http://booklog.jp/users/namikazetateo