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『逢沢りく』(上下巻)を読む。

 

漫画をまとめて読む。

ず、読書会(「ほんのおつきあい」)で紹介された『イキガミ』全10巻(間瀬元朗作:小学館)。国家と個人、自由と抑圧、生と死。難しいメッセージが「24時間後に必ず死ぬ」を鍵に提示。自分に降りかかったらどうするか、有無言わさず考えさせられる。

いて『赤狩り 3』(山本おさむ作:小学館)。1950年前後の米国マッカーシズム「赤狩り」が題材。『ローマの休日』は、思想と表現の抑圧に抗して人間の自由と尊厳を表現した記念碑的な作品だが、愛と信頼のメッセージが今も観る者を魅了する理由を思う。複雑な話をわかりやすく読ませてくれる。4巻目が先月出たのを知り今発注。

う2冊は、『逢沢りく』(ほしよりこ作:文春文庫)上下巻。手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作と知り読む。表面的には恵まれた家庭、嘘の涙を自由に流せる美しい14歳りく。先に届いた下巻から読み、意味不明な筋と鉛筆1本で描いたへなへな線描で後悔。上巻から読み始めると、これはなかなかと気づく。冷めているりくが、親戚の人間関係の中で変化していく様がヒシヒシ迫る。人と人との関係を言葉を手がかりにして表すには、人物以外は完全省略し、吹き出しが手描きなのも効果的かも。立ち読みした『大家さんと僕』(矢部太郎作:集英社)もこんな感じ。

まけ。『アイスバーン』(西村ツチカ作:小学館)。疾走感、完成度、そして手描きのトーン、お洒落だ。高野文子を思い出させる。絵柄が『逢沢りく』と対照的。波風氏はちょっと苦手なカッコいい漫画。

※『イキガミ』は05~12年、漫画週刊誌に不定期連載。08年に映画化。『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』は現在進行中。『逢沢りく』は初出が別冊文藝春秋2014年5~9月、11月号書き下ろし加筆。2015年手塚治虫文化賞漫画大賞作品。


2年以上未更新だった『波風立男氏の本棚』、このブログで扱った本だけ収めた。散らかったのを整理した感じ。

http://booklog.jp/users/namikazetateo