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テレビの時間 の続き

テレビを見ていたら、ちゃぶ台にご飯が並び始め家族が丸く座り、お母さんが申し訳無さそうにカーテンを閉めた。今日のテレビ時間の終わり。近所にテレビが入り、窓の外から何人もの子どもたちが音の聞こえないブラウン菅を真剣に見つめていた。紙芝居を遠くから眺めているのと同じ光景、音は聞こえなくても人も動物も風景も動いている不思議。今から60年前の路地裏、貧しさとか格差でなく優しい人たちの記憶。憧れと一体の思い出。どこのうちも、テレビが窓から見えるように置かれていた。

 

スチールの本棚の一角に、お茶碗や皿や箸を置く新婚生活。家具屋もない小さな島の暮らし。テレビを買えた時、やっと一人前になった気がした。娯楽も教養も文化も、あらゆる情報をテレビが教えてくれた。それからの「とりあえずテレビ」。それを遅ればせながら変えようとしている波風氏。

その対策の一つが録画、もう一つがオーディオ。すべてスマホ操作の便利な時代。今日は、加古隆さんの曲をずうっと流している。ラジオも聞くようになった。目と耳から、耳まで来た。無音まではもう少し。老後の落ち着いた文化というか楽しい習慣になってきている。

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