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エイリアンでなく

生物学者  福岡伸一さんの引用で書いた『エイリアンとの戦い』(3/21ブログ)。ウィルス=外部からの侵入者と思ったがそういうことではないようだ。

 

「ウィルスは一方的に襲撃してくるものではない・・・宿主の細胞に感染する(というのは)宿主側が極めて積極的に招き入れているとさえいえる挙動をした結果」、「進化の結果、高等生物の一部が外部かに飛び出したもの・・・・ウィルスはもともと私たちのものだった。それが家出し・・・・また宿主は優しく迎え入れている」(4/3 朝日朝刊「福岡伸一動的平衡」から)。

 

私たちの細胞がウィルスという家出人を優しく迎え入れる理由を、「進化を加速してくれる」からだと福岡さん。宿主に死をもたらすことがあっても、遺伝情報の水平移動(親から子への「垂直移動」に対して)は生命系全体の利他的なツールとして役立つと言う。そして、「ウィルスは生命の不可避的な一部であるがゆえに、根絶したり撲滅したりすることはできない」と続く。人類はこういう艱難辛苦の過程で進化してきたんだ。

 

ワクチンも薬も無く、とにかく人と接しないことが唯一の防御策に暗澹たる思いだが、「(ウィルスは)生命の進化に不可避的な一部」と言われれば、仕方ないなあ、まあまあの状態で何とか静かになってくれよな、俺のところには来ないでくれよと思うしか無い。福岡さんの言説の正否はわからないが、ハラハラしながら暮らすより「なったらなったで仕方ない。家出人は俺のところに戻りたかったんだなあ」と腹を決めた方が健康的な気もする。

 

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