カウンター

覚醒 2時間

無印湯たんぽ。かわいい

「なぜ下のトイレに行ったのにそこでやらなかったんですか?戻ってきて枕元で吐きます普通?」と後始末してくれているママヨさんの怒声が頭上で響く。明日は人様の前で話しする、ということで嫌な風呂に入ったまでは良かったが、やっと終われる安心感で遅くまでテレビを見てしまった。完璧な湯冷め。夜中に突然震えが来て、毛布足してもらい、湯たんぽ入れて貰い、そのうち吐き気始まり…階下のトイレで用足せず…の顛末。「夜は麻婆豆腐作ったんだよな…ゲロゲロ」と枕元の畳を汚しながらのたうち回った。

「まさかインフルエンザじゃ無いよな」と湯たんぽ抱きかかえつつ夕方まで寝入る。「絶対に行かなくては…」だけで、今は葬式以外身につけること無いワイシャツ、ネクタイ、靴下、ハンカチ、チリ紙、時計、スマホ、財布の完全武装。ママヨさんの「大丈夫?何かボンヤリしているよ。送りますか?」を背に、波風立男氏は雪の降らない夜のツルツル道路を行くのであった。これ以上、ママヨさんの世話になんかなれれるかよ。そんなわけで、着いて間もなく始め、予定時間より早目に終え、中身ともかく、関係者一同「時間が短くてともかくヨカッタヨカッタ」の空気を感じた。

家に辿り着くとさすがに少し興奮気味ではあったが、大人の波風氏は(「子ども的ゲロ吐き先生」みたいなことを言われていた)早々と布団に入り、即永眠(いや、即熟睡)。起きたのは次の日の昼。前日の、あの2時間だけが(往復時間入れて2時間半)覚醒状態で、話をしたことも含めて何だかボンヤリとしか思い出せない。「トイレで吐かないんなら、洗面器ぐらいは持って来てよね」の声だけは明確に覚えている。そして、あの日は今年一番寒い日で早く布団に戻りたかったことも。

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