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「ハローライフ」

 リリーフランキーの声のせいだろう。この時間帯のNHKドラマは、おじさん・おばさんの応援番組多く、朝4時半起き・夜8時半就寝の立男にとって深夜番組だがついつい見入ってしまう。起きる時間は変化なしなので寝不足・昼寝必至だ。わかっていても画面から離れられないのは、ゆったりしたリズムで丁寧な画像だからだ。老人向けはこうでなくては…。
 5話の1回目、ぼんやり見始めたが、だんだん目が冴えていった。この日の立男は人の多さにうんざりして疲れたはずだが久しぶりの大都会で緊張感が収まらないのだ。渋谷駅に直結するホテルの19階が寝所なのも落ち着かない。TVドラマに集中することで自分の家にいるような感じがしたのだろう。

 ドラマは、退職したら好きなことをして暮らすはずが、そうはいかないのを丹念に描く。意に反して再就職を決意しても今までの仕事上のつきあい相手は誰も受け入れてくれない。自分が既に「過去の人」であることを強烈に教えられる。連れ添った妻ともすれ違う生活。何とも身に詰まされる話だが、リリーフランキーの声はあくまでも優しい。初級老人の覚悟を決めるにあたり「55歳」は少し早い(このドラマでは58歳の退職)気もするが、還暦過ぎた立男には、わびしいのは確かだがそれは仕方の無いことだし、見方を少し変えれば豊かな生活を間違いなく見つけられる救いがある、そんな仲間の話を聞くような気がした。

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