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饂飩一会

波風さんは面白い人だ。大学で働くのを辞めてウドン作りをしたいというのだから。

3年前の今頃、利尻富士の眺望を楽しむ喫茶店で珈琲を飲んでいたら、画家のご主人が笑ってそんなことを言った。前の教育長さんとの会話だという。前後脈絡なくぽつんと、ただそれだけの話だが忘れられないのは、二人がその後すぐに亡くなられたからだ。

 

別の人だが、病室で聞いた「残念だ。先生のウドンを食べられなかった」が最後の言葉だった。前の二人もそうだがいつも親切にしてもらった。

ウドンを遠くから来て一度食べてもらい、その時に初めて話をした方が亡くなっていた。恩師夫妻と奥様を当地まで連れてきてくれた方で、この訃報を先週恩師から聞いた。尊敬できる先生だった。

 

そんな話を聞いて、いつも買いにいく味噌屋へ行っていたら電話。「ウドン、食べられますか」と知人夫妻から。なんだがほっとした、ありがたい気持ちした。

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