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箸をつくる

うど粥

立男は箸の持ち方が間違っている。母親のしつけ方と人の言うことをちゃんと聞かない多動傾向が原因だ。大人になり、箸と鉛筆の持ち方を教える仕事に就いたので密かに治そうと試みたが無理だった。鉛筆は何とかなったが、食う方は舌の感覚がすべてで、指の感覚には注意が回らなかった。

 前に、「なんだこれ?」というぐらいゴツゴツした見栄え悪い箸をいただき驚いた。具合が良く、何より疲れない。正しさ即ち合理的で、間違いは不合理で疲れるわけだ。箸の善し悪しに目覚めた瞬間だ。悪癖で歪んでしまった大事な生活の仕草をリハビリの原理で修正する感じだ。いただいた箸は約10年、文字通り愛用した。だが誤って先を折り、「1本だけ」札幌の某デパートへ買いに行った。由緒正しい箸は、こういう芸当ができるのだ。だが「1本だけ」で3千円。これにも驚いた。「自分で作ってやる」と決め、某東急ハンズへ行き人生数回分の箸用材料と作成治具を買った。2本セットの1膳分を軽く越える金額だが、自分で作る方が面白いに決まってるからちっとも面倒とは思わなかった。これで随分と遊べる。
 今使用中のは花梨、やや軽く明るい木で2年になる。制作中のはローズ、堅くしまりやや重めで黒檀と同じレベルの高級品。折れた箸はきちんと修正し飾ってある。

 工作熱は突然やってくる。朝顔の苗を立てたり、庭にツツジを植えたりして少し身体を動かしたからかもしれない。中学時代の恩師から衰えぬ創作意欲を感じたからかもしれない。波風食堂開店の本格的準備もあり、今年は少し大きな工作を考えなくちゃならない。そう思うとワクワクする。というわけで、今日の画像は「明日にかけるハシ」。
 今日の1枚は、天ぷらにして残ったウドを何気なく入れてみた朝の粥。これとてもいけます。香りと色の具合も良い感じです。話違いますが、新聞に出ていた「梅シロップ」作りました。来週には味わえそうです。

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