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土曜の夜に

幸せは美しい

 同じ学級だった子ども20人、大人になって30年後に集まる。花嫁の友人もそれに加わった。本人には内緒の、勝手に結婚を祝う会。この趣向は2度目だが、東京や仙台からとんぼ返りで来ていたり、久しぶりの顔もあった。花嫁だけがクラス会だと信じていたわけだが、突然に真相を聞き衝撃的な驚きと感動とはどういうふうなものなのかを見せてもらった。5年前の花嫁は泣きっぱなしだった。今回はそれに加え、腰が抜けた、というか膝がぐらぐらして立っていられない入場だった。

 このクラスは1年間の受け持ちだったが、子どもらは相当に思い出深いようだ。卒業後もことある度に集まる仲の良さが印象的だ。月日増すごとに中学生時代とその後の彼らを考えさせてもらい、それが新しい思い出となり、人間として立派になっていく姿をずうっと間近に感じられることは立男にもママヨさんにもとても幸せなことだ。
 「波風食堂」暖簾も彼らから贈られた。来年開店の大工的造作も頼んでいる。思い出の多くは、立男の「若気の至り」と少年少女の子どもらしさで成り立っているのだが、いつも同じ話で笑う。同じ話で笑うことを笑う。今はそういうたわいの無いことも学校では難しくなり、先生と生徒の関係は、年々つまらなくさせられている。馬鹿馬鹿しい楽しさは学生時代の特権で、その時代の体験だから意味があるのに。

 結婚を祝う心(遠くに転居する友を送別する集いでもあった)を、周到に準備して成功させてくれた子どもらの中心人物が、体調を崩したらしい。こういう集まりというのは、企画はしても相当に心が通いあい、加えて組織力というか有無を言わせぬリーダーシップがなければまず出来ない。大丈夫か、おい?元気になったら、感謝のご飯をごちそうするぞ。この子は現在、立男の働く学校の学生であり、大学の未来は間違いなく明るい。縁とは実に不思議だ。さらに不思議なのは、女子大生と立男がこの春から一つ屋根で暮らしていることだ。不良老人50箇条にはこんな願いなんか書かなかったのだが、波風家の未来もきっと明るいに違いない。

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