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続 夢の話

【前号から続く】 家でメダカを飼っている。昨年の8月から、径40センチ程の鉢で10匹。餌をやると緑の藻の隙間から顔を出す。同じ餌でよく飽きないな、何がおもしろくて生きているんだ。なぜ俺はこんな狭いところで飼っているんだ。運命みたいなのも時々思う。何かの拍子で、俺がメダカだったかもしれない。ここらを繰り返し思うために飼っているのかもしれない。餌やりの数秒間、いつもと違う方角から自分を眺める感じ。
昨日、初めて一匹死ぬ。何となくだが、1年は生きるだろうと思っていたからあっけなさに驚く。小さなタニシが2つ身体に張り付いていた。生きものに終わりがあることをあまり意識していなかったことにあきれた。

 今春、身近な人から自分の重い病気のことを聞いた。淡々と話された分、こたえた。夜中にうなされたのはここらに原因があるかもしれない。白いティッシュの上に置かれた淡い緋色の死、あっけない小さな命でわかったのは、身体の深いところで「余命」を強く意識していたことだ。

■画像は、本文と全く関係の無い、今日の昼ご飯。珍しく豪勢(笑)で、メインは手作りのローストビーフ丼。茄子の田楽、蟹と胡瓜の酢の物。黙っていてもこういうのが毎回出て来るのが「春の夢」だね。

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