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老いの作文

野見山暁治さん

 ママヨさんが作文書いていた。テーマは高齢化社会の中で学ぶ意義とは何か、とかいう少し面倒な800字の小論文。家計簿つけとちょっと違う顔でやっている。この姿かたちこそ初級老婦人の学ぶ姿で、これをそのまま大型の箱、棺おけではないよ、に入れ棒かなんかでギューっと押し出すと言葉に変換できる装置があれば、満点の文章になるような気がした。老眼鏡の瞳も、前掛け姿で原稿用紙に立ち向かっている姿も何だか凜々しい。
 「私の母は90歳を超えている…」で始まる文章は、小論文の体裁の随筆みたいだけれど、新聞で仕入れた情報も活用しママヨさんの老いの中の生きがいというか決意を綴っている。身近な人の思いを書き言葉で知るのは希なもので、思うところがあった。

 日曜の朝、もう90歳を越えている野見山暁治さん(NHK「日曜美術館」)の録画を見ながら朝食。絵という表現形式で詩をつくり、その詩が永遠の生命力を持っていると思った。この感覚、最近どこかで強くしたはず、それは何でだったかな…と捜し物して中原中也の詩集なんか開いたりした。

 

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