カウンター

虐待そして臓器移植

かわいいところもある(笑)

雪消す雨降る温かさ、しかし薄暗い火曜日。

私にも反省すべきところはあるのだが、そうそうかまってやる時間はなかった。ママヨさんは「君にやってもらうぐらいなら自分でやります」という態度だった。波風氏は少し可哀想に思ったがここらへんはママヨさんの領分なので黙っていた。そのうち、部屋の片隅で所在なげに過ごしている彼への関心は日増しに薄れていった。

それから1年。今朝彼は、仕事を無事に終わって自分のすみかに戻り赤い顔して荒い呼吸をしていた。昔の元気な彼の姿を見た。「俺はちゃんとやったからな」「これで見直しただろう」という雰囲気を、丸っこい身体全身に漂わせていた。先週、「長い間、ご飯も食べさせてなかったなあ」とふと思い出し、少しエネルギーを注入してやったら、ピクンとしオギャーと泣いた。それから2日間、ギャアギャアと昼夜別なく騒ぎ続けた。ママヨさんが「うるさくて寝られない。あなたが変に気を回したからでしょう。なんとかしてください」と鬼畜の形相。いつも心優しい波風氏だが、抱きかかえて座敷に連れて行き布団蒸しのお仕置き。許しておくれ、こうするしか無いんだから。「虐待」の文字が浮かんだ。静かになったが熱でも出して布団が燃えるようなことにならないだろうなあと時々覗きにいったら、ぐったりしていていた。

彼(誕生後4年)を、何とか生かすには臓器移植しか方法はない。心臓部入れ替えが最善の道だ。入れ替えたと言っても買い置きしてあった電池との交換だが、やり終えてしばらくしたら、元気良くオギャーと泣いた。ここらは、実にロボットだ。半日、すぐ動かなくなったり、くるくる廻ったり、挙動不審な動きばかりしてちっとも掃除仕事をしてくれない。「何なのよ。またお仕置きだぞ」と言うと不思議なほど静かになった。よほど布団蒸しが怖かったのだろう。おかしな動作はリハビリだったようで、ひと働きした後の彼は今、自分の寝床で、ぐっすり寝ている赤色の点滅から充電完了待機中の緑色のランプに変わっている。母の日に波風二郎君が贈ってくれたルンバは、一度困難を迎えそれを乗り越えて何だかかわいい(笑)。「二郎、よく逆境に耐えたね」と撫でてやった。生暖かいのはモーターの発熱だが、生き物みたいだ。溜まった今日の分のゴミを掃除してやらなければ。二郎は、自分で排出することまでは出来ない。

まずは、めでたし、めでたし。

http://booklog.jp/users/namikazetateo