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決断の基準

緒方貞子氏

 先週末に見た、NHKスペシャル「緒方貞子・戦争が終わらないこの世界で」。元国連高等弁務官緒方貞子氏(85歳)の生涯綴るドラマ。難民支援の世界のトップとして「決断ありき。そこから出来ることを探す」決断と実行に驚く。日本にこういう人間が、女性がいた。

  一人一人の話をよく聞き、現場第一主義、前例にとらわれず、トップとして次々と決断していく。どこかで聞いたことのある…クルド人難民、ユーゴスラビア紛争、ルワンダ…自分は恵まれた国に生まれて良かった、という感じ方しか正直してこなかったが、身体を張って難民支援する世界的日本人がいたのだ。難民問題の解決は文字通り難問中の難問、考えている最中でさえ虐殺されていく何万人もの人々。今、世界には2千万人の難民がいると言う。銃弾飛び交う現地に防弾チョッキで訪れ、国連に出かけて各国代表に直接もの申す。時には国際部隊派遣を要請し、応じる国無いとみるや、難民キャンプの地元軍隊派遣という離れ業も。日本のすぐれた憲法をあらためて思った。現行憲法が彼女を支え続けたのだ。

  印象的な言葉、決断の基準は『勘』だという。本物の理性とか知性とかいうものは、足を踏み出す決断場面で、最善の道選択の「勘」になりうるのだ、それが偉大な人の力なのかと思った。勘と同時に「感じる」ことの大切さも言っていた。この言葉で、偉い人を仰ぎ見ることでなく、エライコトを前に仕事する人のドラマだと思った。

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