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映画「我が母の記」

我が母の記

 井上靖原作の映画、土曜夜にママヨさんと。少し残念な気持ちで帰る。ママヨさんは庶民的生活感覚から遠いこと、立男は加えて演技の巧さや映像の美しさに感情移入を妨げられたような感じだった。「さあどうだ、親子の愛に勝る感動なんかないはず」、「役者も当代一流の豪華版」、「四季折々の日本の美しい風景も楽しめるはず」という感じが最後まで抜けず、母と息子とのクライマックス場面も何だか唐突に思え、演技力だけがフワフワしたような。
 それは、名優渥美清が「男は辛いよ」以外の映画に出てくると、寅さんが真面目に演じているような感じ。それを、役所広司樹木希林宮崎あおいなどの凄い俳優にも感じこの映画に入り込めなかった。映画というのは難儀な表現形式だ。

 この感情は、先週終了のTVドラマ「島の先生」、今読んでいる窪島誠一郎著「父 水上勉」なんかで、親子関係を考えさせらたこともあるだろう。原作で「たとえ忘れてしまっても、きっと愛だけが残る」を確かめたい、と思った。それと、立男の母が住む街の井上靖文学記念館にまた行ってみようと思った。少年時代を描いた「しろばんば」も、読み直してみたい。

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