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暮らし【掃除と整理整頓】

元 洗濯板


波風君が今でも掃除が苦手なのは、子ども時代の躾けのせいだ。何でも手早い母親が、「2度手間になるからお前は手伝わなくていい」と、その点でのコンプレックスを育ててくれたからだろう。学校で働き、そんな子どもを何人も見た。反対に見事に自然な段取りや道具の扱いをする子どももいて、雑巾の絞り方や畳み方、箒の角度の意味を「なるほど」とこっそり学んだ。

それに比べ、整理・整頓の方は性に合っている気がする。デザインの要点がこれで、カオスの状態からベクトルを引き出し、ある一つのイメージを作り出すのは楽しい。
この半年の木工作業がそれで、漠然とした思いをだんだん形にしていくのは何とも嬉しい。この作業で波風君は自分の性格をあらためて知った。ある時、一作業ごとに道具の出し入れをするのは何故だろう?と立ち止まったことがあった。外の作業台と、室内の道具棚を頻繁に往復していた時だ。それが全然億劫でなく平気に思えた不思議。一つの作業の意味を確認し段取りを確実にしたり、電動工具の扱いに注意したり、木屑や木っ端を片付けて安全な作業場を確保したり、健康面の歩数をかせぐ効能があるのでは、と思った。現職時代の仕事の進め方がこんなだったかどうかは思い出せない。少し違う気がする。

ママヨさんは、整理整頓が苦手で掃除が好きだ。本人が言っている。これはとても良いことで、波風君とママヨさんは互いの長所と欠点を知っているからこの点での喧嘩がめったに起きない。「この状態は当方の仕事だね」と各自判断して暮らす。大きなミレーの掃除機はママヨさん、小さなマキタのは波風君が愛用している。

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