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プールの匂い

夏休みはプールの匂い

 夏真っ盛りの8月1日。白い朝顔が咲き、白髪も伸び、今日は床屋へ行ってこよう。長髪は夏に不向きだし、息子のお下がり愛用する風体は、「変なオジサン」を通り越し「怪しいオジサン」。夜に、薄暗い道なんか歩けない(どうせ歩かないけれど)、女の人の後ろなんか歩こうものなら、間違いなく良くて早歩き、悪ければダッシュ叫び声つきで逃げて行かれるに違いない。隠居か仙人か、と思っていたが、鏡見ると不審者以外の何物でも無い。

顔洗い、干してあった黄色いタオルで拭う。その時突然、小学生時代の夏、プールのことを思い出した。「山中(ローマ五輪の銅メダリスト)があの市営プール(25メートル)で、4つ搔いたら着いたんだって」なんてことを友だちとワイワイ言いながらプールに向かい、近くなるにつれ歓声が聞こえ出し、プールの匂いが鼻をくすぐり、別に急がなくても良いのに、いても経ってもいられなくなって走り出したあの頃。

「今朝、顔洗っていてプールのこと思い出したさ」なんて話したら、「えっ、あの黄色い雑巾で顔洗ったの?塩素で消毒して干しておいたので」。

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