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腰痛の日

昨日、中腰の姿勢で洗髪して腰痛再発。もともとヘルニア持ちだから注意していたのだが、一旦始めたら終われない。12年ぶりだ。

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 あの時は、今よりひどく歩けなくなった。神業の鍼師を紹介してもらった。これがとぼけた名人で、一人で地元の歴史なんかをしゃべっている。うつぶせだから顔は拝めないが口元に唾が溜まっても話し続けている。本気で不安になった。診療も普通の居間で世辞にもきれいと言えなかった。よく言えば昭和初期の風情、悪く言えば手入れも掃除もまるでしていない感じだ。何回も来られないようだから少し深く(針を)入れておきますね」とか言った。巨人の江川を思い出し思いっきり緊張した。「針はどこに刺せばどこに効くのかわかるのですよね」と探りを入れると、「そんなの何年やっていてもわからない」と言う。深く入れた最後の一針、電気が走った感じで足の指が自然にぎゅっと握らさった。

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 行く時は壁伝いにしか歩けず、車の乗り降りもやっとのことだったのに、帰る時にはしゃんした。腕前にうなった。昨日まで12年間、腰痛を忘れていた。神業のお爺さんはあの後しばらくして亡くなったと聞く。すぐ側の、地元で最初に濃い色の花が咲く桜があった旭湯も、桜とともに今は無い。

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