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退職の頃の言葉 【3】

癌の時、55キロの顔。

(前回から続く)
こうした次元とは比べようもありませんが、私の仕事も言葉で始まり言葉で終わるものでした。本誌は、必要に迫られて書いてきた言葉を、退職を機会に集めて残しておけばいつか自分の糧になるかもしれないと思ったからです。
 収めた文章はここ7年半の生徒、先生、保護者へのお便りです。2校5年間、今も3日に1回は更新している学校の公式ブログは入れませんでした。新鮮さが命で時間の経過とともに急速に意味を失っているからです。
 本紙の文章に、何か確かなものがあるのかと聞かれれば、いいえとしか答えられません。表現力の乏しさと、当事者でなければわからない「お便り」の性格からです。それにしても、よく飽きもせず書いてきたものです。ここに収録できたのは全体の一部です。文章を選びながら、「教員とはどんな仕事なのか」を考えました。しかし、読み続けていると肩が凝ってくるのでマッサージのつもりで付録も入れてみました。バラバラの体裁のものを、見開きのページ構成にしたため原文を短くしたり、加筆修正したものもあります。発行所を「波風文庫」としたのは特に意味はありません。何となく本物の文庫本みたいだからです。出版ごっこ遊びみたいなものです。「波風立男」はペンネームです。


 雪降る前の出稿は、結果的に早めの定年準備となりました。これだけでも本誌の目的は達成したような気もします。何か一つ片付けたような感じです。
 最後になりましたが、公私にわたりさまざまなお力を貸してくださった方々にお礼を申し上げます。迷惑でなかったら今後も仲良くして下さい。
 皆様のご健康とお幸せを心からお祈りしています。

 平成23年11月3日               波風 立男

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6年半前、こんなことを書いていた。短く言えば、運と偶然と無数の支えで何とか生きられてよかった、「迷惑でなかったら今後も仲良くして下さい」ということ。そして『言葉』の重みだろう。次回、ママヨさんの書いたことを掲載予定。

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