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素晴らしき世界

世界はこんなに脆弱だったのか。医療や衛生も高度に発達しているはずの国々が大混乱している。ウイルスに勝利する術はなく、唯一の防御が人と接触しないことだけの、徒手空拳の戦い。世界中が「マスク」から始まり、「外出」「買い占め」に右往左往し、仕事を失う大不況に泣き、子どもは学校に行けず、老人は年金財政の破綻に震えている。

 

経済の綻びが、人間の精神を蹂躙するのが最も怖い。苦しみに全く応えないお粗末な政治が出口の無い不安を増幅させる。「政治とは税金の再配分」(井上ひさし)を思い出させてくれるこの国。ウイルス禍を分光器にかけると貧富の差と政治の貧困をまざまざと映し出す。

 

今読んでいる鶴見俊輔著『戦時期日本の精神史 1931~1945』に出てくる苛烈な時代の人間精神が、庶民も専門家もリーダーも今の状況にどう立ち続けるべきなのかを問う。白黒分類できない、一見曖昧でいて強靭で落ち着いた精神に惹かれたりする。そこらを、お茶を飲みながらママヨさんと話する。

世界はやっぱり素晴らしい、と思いたいな。

 

 

 

 

 

 

 

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