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よそ見する読書

ちっとも進まない読書。ほぼ毎日手に取り、昨年秋からだから、ページ数多くても終わるはず。そうならないのは、読み始めるやいなや猛然と雑念が湧くから。食器洗い、除雪、手紙、捜し物、入浴、後でやればいいものが次々と。読書の未練はまるでなくいそいそと雑事に励む。この本に関わる間、10冊は別の本を読んだ。

 

飛ばすと意味わからなくなり、ちゃんと読もうとすると頭が痛くなる。止めないのは、たまに驚くような言葉に出会うのと、最初に禁煙と同じくらいの強い決意で読むと決めたからだ。

 

「嫌なら止めれば」とママヨさん。人生には、嫌でも続けなければならないことがあるのだと言いたいのを我慢し、少し経ってから本をそっと置き、それほど食べたいわけでもないミカンを持ってきて皮をむき、朝に読んだ新聞をもう一回開いたりなんかするのであった。

盗人から手紙貰う。

嫌な人から封書来る。自分のやっている仕事を知って欲しいようだ。開封せず捨てる。この人は盗人である。一度、新聞の全道版で分かる人には分かるよう木っ端微塵にしたが、ほとぼり覚めたと思ったのかどうかは知らないが、しよう懲りなくこんなマネをする。

 

この気分の悪さ、某首相が唇を奪いにきた夢見の後味と同じ。文句言うのも汚らわしいこういう人を他に知らない。ブログには、腹ふくれるうっぷんをはらす作用もあるのか、書いて少し気が晴れた。

芸に笑う

こういうものだ、という固定観念を、タイミングのよい言葉一つで揺さぶりそれが妙に可笑しい。論理だけでなく、時間や空間も言葉だけで自在に操り、経験したことのない笑いに導く。

 

説明不可の可笑しさをあえて書いてみる。「知識は水だ。独占してはいけない」、「間違いはふるさとだ。誰にでもある」、「もう誰かのせいにするのはやめよう」、「できないときは、できないと言おう」。こんな面白くも何ともない紋切り型の言葉で笑わせ、それが実に面白い😄ことを実感させられる。加えて、「時を戻そう」、「どこを向いているんだ相方?急に正面が変わったのか?」といった時空操作に痺れる😄。上手いのか下手なのかはわからないが、言葉を使った芸。

 

変化しない閉塞感というか、多様性認めない失望感というか、弱いものが生きずらい現状に対する何かを感じさせるマンザイ。年末のTVにて。

 

 

記憶の山波


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信州松本に住まわれている方から絵葉書いただく。22年前の記憶が浮かぶ。松本でご飯を食べて寝て小さな美術館を歩いた。

これからの人生で、今日のことを思う日がいつか来るかもしれないと過ごした。40代前半5年間の重圧から解放された自分を労る旅だった。

 

夜、山波の向こうでいつまでも続く雷鳴のない稲光を見つめた。朝、霧に沈んだ町並みを眺めた。夢を見た、なくしたものを必死に探していたり、注文して自分のだけ来ない小料理屋での悲しみ。大半忘れたが、言葉では表しづらい、感じたことが残っていた。今に続く心の奥底に畳まれた何かが静かに開いた、一枚の絵葉書に刺激されて。

http://booklog.jp/users/namikazetateo