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記憶をめぐる一日

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年上の方々を友人夫妻と呼ぶのは失礼なことだが、それ以外にくくりようのないお2人が遠方から。『記憶』と年齢の話、ぼんやり暮らす素敵さなどを聞く。波風氏は、『燃え上がるみどりの樹』の、人が亡くなる間際、一瞬よりも少し長い時間の鮮烈な記憶が、長い人生の思い出に匹敵する、いやそれ以上に意味を持つことを話する。ママヨさんは、宗教と無縁な『祈る』行為について。奥様が『ゴリラの森、言葉の海』(山極壽一・小川洋子対談集:新潮社)を読んだと聞き、話が合うはずだなあと思った。良い午前。

 

近所に住む年下の奥様が、花、花の種、大葉で包み油で揚げた味噌を持ってきてくれた。前は、手作りのジャムとホッケの開きをもらった。健康のこと、車の運転、この地に住む意味、そしてやっぱり記憶のことを話する。都会で生まれて育った方だが、慌ただしい都会暮らしはできないことで共感する。良い午後。

 

ママヨさんが、新しい餅つき器で草餅作る。40年以上になる古い餅つき器は、波風夫妻には簡単に捨てられない。理屈とは違う感情、パンと餅を巡る家族の思い出。
今日のお土産にした、餅のヨモギは、近くの公園で春に採った。先週末、ドングリにはもう遅過ぎ、ナナカマドの赤い実も終わるのを、街全体を見渡せる丘に登って知った。夕焼け空に薄紙みたいな青い雲が並んでいた。こういう記憶はずうっと忘れないだろうな。

 

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