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ケインズの美人投票


【一人暮らしの日常】1日の暮らし。

朝起きて窓をあけ、空気を入れ替える。緑も飾る。キッチンも食卓周りも清潔で合理的な住まい。手慣れた様子でご飯作り食べる。なにもかもがお洒落だ。
しかし、何だかモヤモヤ感。自立した人の暮らしは学ぶところ大だが、余計なものというか、ゴチャゴチャした感じはついてまわるのが庶民の日常。生ゴミも洗い物も、ホコリも鼻紙も、脱ぎ捨てたジーンズや靴下もあるのが普通。動画の『一人暮らし』にそんな綻びというか少し疲れた暮らしの柄が見えないのは尋常じゃない。日常とは思えない。暮らし方をデザインするセンスが素敵なのはわかるが少し息苦しい。周到に用意したスタジオと主役は自分、という感じの動画だね。動画そのものがプロ級、その筋の方かもしれない。

 

このユーチューブ動画、同じ頃に一冊の本を読まなかったら感想は違っていたと思う。絶賛していた(笑)。その本の『はじめに』にあった「ケインズ美人投票」のさわりから。
「みなさん、美人だと思う人に投票して下さい」
「ただし優勝した美人に投票した人には賞金を差し上げます」。
この条件がついた途端、コンテストの結果は変わる。自分が美人だと思う人では無く、みんなが美人だと思いそうな人、票を集めそうな人に投票は集中していく。美人もさることながら、それ以上に投票者達の顔色、思惑を読むことに神経を使い始める。 
NHKプロデューサー丸山俊一著『14歳からの資本主義』の「みんながみんなを読みあう資本主義」から

 

http://booklog.jp/users/namikazetateo