カウンター

青春のカリー軒

この看板、ナツカシー−−

カレーのエッセー集『アンソロジー カレーライス!!』(PARCO出版:33編のエッセー)読む。そうそうたる作家たちのスパイス香る話で、『カリー軒』を思い出す。

中学の文化祭準備の夜、先生が食べさせてくれた食堂出前のカレー。世の中にこんな美味いものがあるのか、と思った。仲間の一人が「カーリー軒っていって、国劇のところにあるってよ」と先生から聞いてきて、何人かで食べに行った。カウンター席しかない随分狭い食堂で、あのポークカレーを食べた。学生服に学生帽、ポケットに万年筆を挿したニキビ面の我々は、十分にご馳走のはずの固形カレールーを使った自宅カレーライスとは全く格の違う美食に陶然となった。隣が街一番の本屋『富貴堂』、裏が画廊『パーラーヒラマ』だったから、この三角形は、高校、大学時代のちょっと余裕がある時の嬉しい「行きつけ」の街散歩通路だった。
カリー軒はその後、平和通り沿いに本店と支店あわせ3軒を誇っていた。野菜を沢山使ったタンメンも時代を先取りした美味さがあった。ニキビ面の中学生はその後、一人で通うようになり、隣に女性もいるような年頃になっていた。

働くようになって旭川を離れ、気がつくと愛すべきカレー屋は忽然と消えた。今回、サイトで検索したら札幌に移ったと知った。今でもやっていて、有名な店になっていて何だか嬉しかった。ハンバーグがウリのようだが、カレーを味わってみたい。このブログを読んでくれた札幌の人、この店知っている?

http://booklog.jp/users/namikazetateo