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退職の頃の言葉 【1】

庭の桔梗を飾って

定年退職から6年4ヶ月。再就職の退職から約1年。暮らし方の変化はないが、そのすすめ方が変わった。長男で、一人息子で、一人暮らしの経験ゼロの波風立男氏が、やって褒めてもらえる「家事手伝い」から、やってあたり前の「家事共同」に移行したからだ。「こんなに面倒な人とは思わなかった。よくまあ、周りの人たちは我慢してくれたものだ」と最近のママヨ談。前と同じようにして、いや努力してこれ(涙)。全然家に居なかった前と、一日中家に居る今では、状況というか家の空気が全く違うそうだ。
ここで大事なのは、何を反省し、何を貫くかだ。いったい、退職時点でそこら辺をどう考えたのかを描き残した言葉で確かめたい。(以下、波風氏が退職記念に私家版発刊した序文から)

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 60歳の定年を迎えます。中学3年で「先生」という仕事にあこがれ、22歳でその世界に入り、気づくと退職です。学校へ向かう朝、「もしものことがあったら、皆さんのおかげで今まで機嫌良く幸せに仕事ができました、と言っておいてくれ」と冗談半分本気半分で口にして10年が経ちます。
 教育の仕事は人生を賭けるに値するものでした。同時に、とても難しく自分の力だけで出来たことは一つもありません。五〇代前に3度辞めようかと迷い、五〇代で2度辞めなければならないような事態に遭いました。続いたのは運が良かったからです。細かな無数の偶然のつながりと、大勢の方々の支えで今を迎えることができました。

 生きるということを意識したのはここ数年です。大震災による不幸を持ち出すまでもなく、私の事情など全く取るに足らないものですが、2年前の胃がん手術も、仕事や人生に正対させられる機会でした。見舞いの方々が3週間で20㌔減の私を見て息を飲まれたのは当然です。私自身が、こういうのを死相というのかなあと鏡の向こうの顔を見て思いました。(明日の【2】に続く)

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